| 腕はいいが仕事がない。 三重県の博物館に展示する薩摩型和船を造るのは最後になるだろうとの記事が新聞に載る、この船の製作に携わった船大工を訪ね貴重な技術をミニチュアとして遺せないかとお願いしてみるが体調不良であっさりとお断りを受ける。船大工、木工職人、桶造り職人さん いい技をもちながら技を発揮する場所がない造っても採算が取れない、この素晴らしい技が惜しい。 大工さんを何度か訪ねるうち竹細工をやっている友人が船大工の指導をうけながらミニ和船を造ってくれることになった。 船大工の監督の下、和船造りが始まる。竹細工の心得はあっても和船造りは完全に未知数、伝統的な形、船の命である浮かべても浸水のない機能を重視する「テゲテゲで本物を造れ」との難しい注文である。 細かい細工も本物とおり設計図はなく口伝えのみ。 船底は本来張り合わせの三枚板を使用するが小型のため強度がなく水の浸入の恐れがあるため苦難の末、一枚の材木を彫って船底にする。船釘は入手が困難なため釘の頭をつぶして釘に仕立て船釘に使う。 夜中に飛び起きて船の製作に当たる日、気は急くが手付かずの状態で一日過ごす日もあった、魂が船に乗り移ったとおっしゃる、苦難の月日が流れ行く何隻失敗しただろう、やつと格好のつく一隻が完成する、しかし監督は不満のようだ。依頼者がいいで出来ばえだと賞賛するがまだまだ修行中だと云われる 船大工橋口昌市と今藤勝利の苦労の日々は続く。 船大工の技を受け継いだミニ版和船に{薩摩型和船黒みよし]と名付ける。
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